ワカメやメカブの説明

わかめやめかぶは、こんぶ、ひじきと同じ褐藻類の一種で、世界に比して日本でよく食べられている食品です。その起源は縄文時代にまでさかのぼることができます。 そして、わかめの胞子が岩場などに定着して発芽後、成熟すると根元に胞子葉が大きく育ってきますが、これがめかぶです。 わかめやめかぶには、カルシウムやマグネシウム、ヨウ素や食物繊維など身体に有用な栄養素が多く含まれています。 そして、海藻類に含まれる食物繊維は、野菜や穀物に含まれる食物繊維とは異なった化学構造を持ち、アルギン酸やフコイダンと呼ばれ、乾燥重量あたり約3割も含まれています。 このアルギン酸やフコイダンには有用な生体機能があることが明らかになっています。アルギン酸は海藻の粘り成分であり、その性質としてアルカリ性では水溶性を示し、酸性では不溶性を示します。 つまり、酸性度の高い胃では不溶性食物繊維として働き、小腸や大腸のようなアルカリ性の環境では水溶性食物繊維として機能することが分かっています。 また、アルギン酸塩の一種であるアルギン酸カリウムは胃の中でカリウムを分離し、腸でナトリウムを吸着することが分かっています。この働きによりカリウムは体内に吸収され、食事中のナトリウムは糞便中に排出される効果が期待できます。 低分子アルギン酸ナトリウムは胆汁酸の生合成に関係しており、間接的に血中コレステロールを低下させる働きが明らかになっています。 一方、フコイダンもアルギン酸と同様に粘りをもつ多糖類であり、免疫賦活作用(抗アレルギー作用)や抗ガン作用などが多数報告されています。これらの研究は研究室内で行われる研究結果ベースであり、人を対象とした研究の結果が待ち遠しいところです。 そして、現在の日本人(成人)の食物繊維摂取量は約14g(平成25年国民健康栄養調査結果)で、「日本人の食事摂取基準(2015年)」が示す目標量の男性20g、女性18gに達していません。食物繊維の摂取不足が生活習慣病(心筋梗塞、脳卒中、糖尿病、乳がん、胃がんなど)の発症と関連がある報告が多数なされており、加えて食物繊維の摂取量と排便習慣の関連も示唆されています。 そこで、食物繊維を積極的に取る意義は大きいと言えます。健康を維持・増進するために色々な食品から継続的に食物繊維を摂取することをお勧めします。 わかめやめかぶは日常的に取りやすい食品の一つです。海藻類を摂取することでカルシウムアップも期待できるので、色々な調理法やメニューでぜひ食卓に取り入れていただきたい食品です。

同志社女子大学 准教授 片井 加奈子


めかぶや海藻などの難消化性多糖類を多く含む食品は体内において腸内細菌のエサとなり、発酵や善玉菌から産生される有機酸など、有効物質の影響により、体調や大腸の環境を整え便通を改善する事が知られています。 縄文時代から、発達した日本の海藻を食べる食文化は人体にも影響を与えています。日本人の腸内細菌(※下記に参考書物を紹介しております)の中には海藻成分を資化する腸内細菌の存在が証明されています。

『大便通』 知っているようで知らない大腸・便・腸内細菌

発行所:株式会社 幻冬舎 第一刷
発行 2012年11月30日
著者 辨野 義己
※その他 『免疫力は腸で決まる!』 (発行所:株式会社KADOKAWA) など著作多数

めかぶについて

めかぶとは、わかめの根元にある 種 のかたまりです。

めかぶ

めかぶを構成する 種(遊走子)の成分や効果はほとんど解明されていません。しかし、メカブを構成するすべての物質はこの種(遊走子)を保護、育成するために存在しています。生物の進化の過程で、非常に特異的な部位であり、まさに命のゆりかごとしての機能を持っています。

めかぶの成分(わかめの葉、茎、根にはフコイダンはほとんど含まれない。)

 ・水分     ・タンパク質
 ・脂質     ・糖質(フコイダン・アルギンサン等を含む)
 ・マグネシウム ・鉄
 ・ナイアシン  ・カルシウム
 ・亜鉛     ・カリウム
 ・セレン     ・ナトリウム
 ・モリブデン  ・銅
 ・マンガン   ・総クロム
 ・ヨウ素    ・リン

 その他微量元素を多数含む。

めかぶを構成する成分の中で、核となる種(遊走子)は非常に微小であり一個の大きさはミクロン(μg)の単位です。めかぶ一株(100g前後)に一億から二億の遊走子が存在します。人の精子と大きさはほぼ同様です。ただし繊毛は2本あります。この核の成分の特徴はよく解っていません。

生物は、個体の内側でも又外側の多様な個体と個体の関係も『相捕性』、『補完性』で全体の均衡を保っています。人体の細胞組織もまた同一です。過去数十年の食品加工技術の進化により、おいしい物をいつでもどこでも手に入れることができますが、伝統的な日本の食文化は影が薄くなっています。ところが世界では日本の食文化は非常に評価され、健康志向の手本として『和食』として無形文化遺産(2013年11月)に登録されました。戦後70年難病、奇病が多発し全てに効果のある治療薬ばかりではありません。健康管理の要は『食』にあります。めかぶの様な希少な食品を見直すことが重要な時代となって来ました。